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ESSAY・BLOG

2020.04.28

踊るキューバ09「リビエラ」


写真と文・小町剛廣

(この原稿は2001年に連載していたものです。
当時の臨場感を出すためにそのまま掲載しております。)

週刊 ジャーフル・連載第9回

ーリビエラー

19階の部屋の窓から外を見て
「もう一眠りしても大丈夫だな」と思った。

ハバナに滞在する時、リビエラホテルを選ぶことが
しばしばある。このホテルは革命以前からあり、
夕日、朝日の違いはあるが、
全室オーシャンビューで構成されている。

キューバで夜、イベントなどで外出すると、
必ず司会がこう言う。「キューバの夜はまだまだ若いです。
もっと楽しんでください」

普通、「まだ早い」という表現だが、
ここキューバでは若いと言う。 何気ないことだが、
そういったところで妙に私の心はくすぐられる。

ついつい、朝の4時とか3時とかまで遊んでしまい、
部屋に戻っても必ず朝9時くらいには起きる。
理由は簡単で、キューバの宿泊スタイルは朝食付きが多いので、
必ず食べるようにしているからだ。

朝食をとり、少しロビーとか近所でぶらついて
から部屋に戻ると、昼近いことが多い。
そんな時、必ず眠気が襲ってくる。

何も予定を入れていない時は、間違いなく
昼寝することにしている。

ちょうど、窓から見える海の向こうに、
雨雲があったので、私は昼寝を選んだ。

ただ、この夕立の後、素晴らしい太陽が出てく
ることが多いのを知っているので、
いつでも撮影できるよう、カメラを抱いたまま昼寝を続けた。

思ったとおり、1時間もするとすごいスコールがきた。
それでも私はうたたね状態でベッドの上で横になっていた。

それから少し経ち、いきなり顔に光があたり、
暑くて完全に目が覚めた。

まだ雨は残っているが、晴れている。日本でいう、
キツネの嫁入りである。

私は急ぐこともリキむこともなく、ゆっくり窓を開け、
周りを見回して何回かシャッターをきった。
ハバナ湾から続いて一いるマレコン通りはハバナでも
代表的な通りである。

そのマレコン通りが雨で洗われ、すっと顔を出した
太陽の光でアスファルト色の道路に空が映り一込み、
うっすらと青く染まる。その先に続く海もまた、
強いスコールのなかにキラキラと輝く部分がある。

波も少し荒れていたり、穏やかであったり、
一度に様々な表情を見せてくれた。

写真家として、こういった場面に遭遇できること、
まして太陽に昼寝を起こされ、
シャッターチャンスをもらうということすべて、
神の恩恵だと思っている。

これこそ写真家冥利に尽きる。

今でもキューバは厳しい状況下にあるが、
その中で国民一人一人が強く、生きていると思う。

この時撮った景色には、様々な情景が写っているが、
その一つ一つがキューバ人の持っている喜怒哀楽
そのものだった。

     
マタニティフォト専門スタジオモーツァルト
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