〜全ての家庭の床の間に古酒甕を〜
山原島酒之会会長
名護博物館初代館長
現在は泡盛仙人
写真・文 小町剛廣
名護の街中から車で30分ほど行くと島袋正敏さん(以下、泡盛仙人)の工房はあった。
NHK連ドラ「ちむどんどん」や映画「カムイ伝」などで撮影地として使われたりしている
自然豊かな天仁屋という地名の場所。
泡盛仙人の工房の前には天然記念物に指定されている推定樹齢250年の御神松(ウカミマーチ)があり、この樹は仙人の持ち物ではないが仙人の敷地の一部に見える。
敷地に入るとまず小川が流れており、そこを渡る。後で聞いた話ではこの小川で1〜2年ほど前に2時間ほどで10匹以上のオオウナギが取れたとか・・・現在もすぐ釣れるとのこと。
(蒲焼にしたのかな???)
広い敷地の中を様々な植物が彩る。訪れたのは3月半ばであるが綺麗な赤い花が咲いていた。
仙人の工房はかまぼこ型でツインで出来ている。
2009年に完成。何年もかけて自分たちで制作したとの事。のちに色々と話を聞いていると
仙人はなんでも手作りでこなしてしまう人だった。
優しさを感じるかまぼこ型の工房はよく見ると畑などで使われているビニールハウスの支柱を骨組みに
そこにうまく木材を張り込んで作られていた。
黙々100年塾蔓草庵
工房の名前は『 黙々100年塾蔓草庵 (もくもく100ねんじゅくまんそうあん)』
仙人曰く、黙々と100年、200年かけて完成させる壮大な計画を持った工房。
また工房の周りは多くの蔓(ツル)や草が茂っているエリアなので蔓草庵と。
100年、200年かけて作る古酒たちがいる工房の中へ・・・・
入り口に近い一つ目の工房へ入る。
伺った時は雨も降っており、普段より薄暗いのかもしれないが
このくらいの暗さの方が泡盛に優しい気がする。
煌々と照らされた中での展示は見るものにはわかりやすいが泡盛にとってはストレスである。
泡盛は瓶内熟成するからである。
ここへ来ると泡盛の多さにびっくりするが
上の写真以外に隣の工房にもぎっしり泡盛が並んでいる。
多分毎回同じことを聞かれているのであろう・・・質問をしてみた。
「 全部で何本ありますか?」
「三合瓶、四合瓶、一升瓶、全部あわせて 2020年に9000本ちょっとで、今は9500本」
宮古島の泡盛、八重山の泡盛、などきちんと置かれている。
珍しいところでは56年もの泡盛で「 轟 」。
こちらは現在もヘリオス酒造で作られ、販売されているがこの「 轟 」は
今は廃業してしまった名護酒造のもので今では幻の泡盛と言われている。
泡盛好きには応えられない一本。
そして奥の工房へ行く。
そこは独特な濃厚な甘みやバニラや果物のような香りと高貴なアルコールの香りが呼吸をしていた。