仙人が育てる神が宿る泡盛
謝那覇師匠から正しい仕次ぎを受け継ぎ、
そして他にも様々な細部にわたるデリケートな作業が行われていた。
上の写真の甕は550年前の南蛮の甕。
現在ではシャム(タイ)にも残っておらず、沖縄に当時運ばれてきて残っている数少ないもの。
アンティークショップ(骨董品や)などで見つけては購入しているとのこと。
それを綺麗に洗浄してから3年ものの古酒を入れる。
銘柄は本部町の「山川 珊瑚礁」国頭村の「山原くいな」
もちろん混ぜたりせず別々の甕で寝かす。
「山川」は他の泡盛よりも少しパンチが効いている。
「山原くいな」は少し穏やかなかんじの泡盛。
(私自身どちらも好きでよく飲んでいる。)
この違う2種類を寝かしているところが面白い。
甕の蓋はデイゴの樹から甕に合わせて作っている。
デイゴの樹は柔らかく、ワインで言うところのコルクのような役割。
樹が硬いと甕が割れてしまうのだ。
そして密閉性を高めるために何重にもセロファンを蓋の周りにひいている。
一年に一回、仕次ぎの時にしか蓋を開けない。
開けた際に、一番泡盛に近いセロファンは交換していると。
泡盛にセロファン臭がつかないようにするため。
一年に一回しか開けない蓋を
仙人の機嫌が良かったのかいきなり、開けてくれた。
思わず、シャッターを切る。
シャッター音とともに濃厚な甘みやバニラや果物のような香りと
高貴なアルコールの香りが工房内に蔓延する。
仙人が愛おしい孫の顔をみるかのごとく甕へ導かれる。
つまみは酒の勃つ素朴なもの
仙人のお父さんもかなりの酒豪だったらしく、
泡盛を飲む際にはつまみは酒の勃つ素朴なものと決めていて
あまり華やかな食べ物と一緒に古酒は飲まなかったとのこと。
古酒の風味、香り、味わいを生かすもの。
お気に入りのつまみはエラブチャ(アオブダイ)のキモ(チム)と味噌をあえて
そこへ、ラードを少し熱して混ぜる。
それをエラブチャ(アオブダイ)の刺身につけて食する。
そして古酒を嗜む。
イメージするだけで素朴だがすごく贅沢な至福な時であることが伺える。
左が100年古酒、真ん中が2000年サミットで振る舞われた古酒、右が黙々100年塾蔓草庵で生まれた古酒。
仙人がおちょこ一杯、古酒を振舞ってくれた。
おちょこを持つ手元で香りが放なたれる。
豊満な微粒子が四方八方に・・・散らばる。
口にした瞬間、クヮっとエネルギーの強い、暖かい、
そして柔らかい不思議なものが喉からお腹へと落ちていく。
こんな凄い古酒は初めてだ!
「茶道などと同じ古酒道だよ。」と仙人が教えてくれた。